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じゃん・けん・ぽん!!

第9章 数には数を

「なに」
 晃仁の言わんとしていることがいまいち飲み込めない。
「ここを見てください」
 晃仁は、最初の頁の先頭を人差し指で示す。

 柔道部一同。

 晃仁の指している部分にはそう書かれていた。そしてその下に、部員のものと思える生徒の名前が列挙されている。もちろん、柔道部の部長を務めている馬淵学の名前もそこにはあった。
「それからここ」
 晃仁は別の頁を開いて、同様にその先頭を指で示した。

 ラグビー部一同。

 そう書かれている。そしてその下には、やはり柔道部同様、部員のものと思われる生徒の名前が列挙されていた。
 晃仁は、さらに同じことを繰り返した。
 柔道部、ラグビー部に続き、さらに野球部、サッカー部などの部員の名前が列挙されている。ただ――。
「それが、どうしたの」
 内容は分かったが、だからと言って人数が多いことに変わりはない。
「つまり――」
 晃仁は、紙束をそっと閉じた。
「ここに名前を連ねている生徒は――」
 閉じた紙束を、晃仁は裕子に返す。それを裕子は受け取った。

「みんな男子なんです」

 と晃仁は言った。
「あ!」
 言われてみればその通りだ。裕子はあらためて紙束を開いてみる。
 確かに晃仁の言う通りだ。
 柔道部。ラグビー部。野球部。サッカー部。どうして部活ごとなのかは分からないが、女子の競技者が少ない部活ばかりだ。個人的に名前を記している生徒もいるし、その中には女子のものと思われる名前もいくつか見られるが、それでも男子の名前が圧倒的に多かった。
「会長さんも言った通り、全校生徒の半分くらいは、下駄箱の交換を望んでいるのかもしれないです。半分となると、確かに圧倒的な数になります。でも――」
 晃仁は、そこでいったん言葉を切り、そしてこう続けた。

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