テキストサイズ

じゃん・けん・ぽん!!

第12章 探し物はどこですか?­

「それじゃ、帰りましょうか」
 と晃仁は言った。
「そうだな」
 と学もノートを閉じた。いや、閉じようとした。しかし、閉じる前に学は手を止めた。
 違和感があったのだ。
「どうしたんですか」
 と晃仁が覗き込んでくる。
「いや、このページ」
 ちょうど開いていたページを、あらためて見てみる。すると――。
 ページの根元に、敗れ目が見えた。
「あ、破れてますね」
 晃仁も気づいたらしい。立ち上がりかけていた状態から、また椅子に座り直した。
「何が書いてあったんだ」
 なんだかそれが気になった。返却さえすれば問題ないのだが、こうして謎ができると、無関係なのに気になってしまう。
 その破られたページの、次のページは真っ白だ。そしてその前のページまでは、計算式などが書かれている。つまり、そこまでは通常に使われていたということだ。
 とすると、この破られたページは何だったのか。破ったからには、きっと何かがそのページに書かれていただろう。そして、それはきっと、人に見られたくないものだったに違いない。そうでなければ破くはずがない。
 その白いページをなんとなく眺めていると、晃仁がぽつりと言った。
「もしかしたら、そのページに書いてあったことが、分かるかもしれませんよ」
 意外な言葉だった。今ここにないものをどうやって知るというのか。
「どうやって」
 素直に尋ねると、晃仁はこう答えた。

「砂糖を使うんですよ」

「砂糖?­」
 意味が――わからなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ