
掟破りな恋をしよう。
第1章 最低な出会いは、運命の出逢い。
「失礼します………!」
椅子に座っていた社長は私の姿を見ると
かけていたメガネを外し、一瞬驚いた顔を見せた。
しかし、すぐに優しい笑顔を向けてくれた。
「見慣れない顔だ。
今年から新しく入った子かな?」
「あ、えっと………今日から設計部署に
所属することになりました、豊田未来といいます。
よろしくお願い致します。」
社長に軽く挨拶をし、私は深々と頭を下げた。
「あぁ、君が豊田さんか。名前は聞いたことあるよ。
君の部署長の沙耶ちゃん、知ってるだろう?
あの子がね、こないだ
『この子には凄く期待してる〜』って
話してくれたんだよ。」
ニコニコと笑いながら社長は言った。
「そんな………。
期待していただけるなんて、光栄です。
期待に答えられるよう、しっかり頑張ります…!」
私がそう言うと、社長は優しく微笑みながら
うんうんと頷いた。
蒼乃建設会社の社長である
蒼乃 宙也(あおの ひろや)さん。
噂に聞いていた通り、おっとりとした雰囲気で
笑顔のよく似合う
優しいおじいちゃんのような人だ。
社長が本当に優しくて良い人である、というのも
この会社が人気な理由の1つである。
