
掟破りな恋をしよう。
第2章 彼の素顔。
「見せてみろ。」
神咲さんはそう言うと
私がマウスを握る手の上から
私の手を握り、マウスを操作する。
「!!!!!!!!」
え………!!?
ちょ、ち…………近い…!!
横を見ると、彼の顔が
私のすぐ横にあった。
少し気だるそうにパソコンの画面を見つめる
彼の横顔があまりにも綺麗で
不覚にも、少しドキッとしてしまう。
普通に彼の息が
自分の顔に触れてしまうくらいの至近距離。
そんなんじゃないって分かってるんだけど
変にドキドキしてしまう…。
「……データのまとめ方はこれで文句無い。
お前、この計算が合わなくて
ずっと悩んでたんだろう?」
「!! そうです…………!」
彼はいとも簡単に私が悩んでいた問題を
見抜いてしまった。
「ほら、ここ。見てみろ。
1ヵ所だけ『2』が1つ多いんだ。」
本当だ…………。
焦り過ぎて、きちんと隅々まで
目を通せていなかったんだ。
神咲さんが計算をやり直すと
データの数字がバッチリ合った。
「良かった……………。」
その途端、私の頬を
温かいものが伝った。
