
掟破りな恋をしよう。
第3章 彼と共に、恋を知る。
「上司としては、今から手伝って欲しい気持ちは
正直無くもない。
でも。
恋人としては、こんな夜遅くまで仕事を
頑張ってくれてるんだから今日は
もうこれ以上はして欲しくない。
…だから、また明日からよろしく頼むよ。」
優しく微笑みながら彼は言った。
「…………るい。」
「ん?」
頬をつねる神咲さんの手に
私は自分の手を重ねた。
「神咲さん、ほんとずるい……………。」
どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう。
彼の気遣いに、涙が出そうになる。
目に何か熱いものが溜まるのが分かったが
それが頬を伝ってしまわないよう
私は必死に耐えた。
そんな私の表情を見て、神咲さんは
一瞬困ったような顔をした。
「男の前でそういう顔すんな、バカ………。」
「へっ…………?」
次の瞬間、私は何が起こったか分からなかった。
唇に、何やら温かくて柔らかい感触が伝わる。
それが、神咲さんからキスをされていると気付くまでに
かなりの時間がかかってしまった。
