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Our Destination

第11章 届いてしまった、微かな香り

「そう、あの日…。私がひとりで飲んでるときに元カノさんとお別れした悠輔くんが真希たちのバイト先に来た日、隣でずっとお話聞いてて私は辛かったよ…。」
「ごめん…。」
「謝らないで…?悠輔くんのせいじゃない、悠輔くんは悪くない…。だからこそ、聞くのが辛かった…。でもね、私がお話聞いて楽になれるならそれでいいと思ったの。それで、悠輔くんの力になれるならそれでよかったの。」
「うん…。」
悠輔くん、悲しそうな顔しないで…?
私は悠輔くんのそんな顔見たくないんだよ…?

「そして、元カノさんのお話を聞いた時、私すごく取り乱したでしょ…?」
「うん…そうだったね…本気で怒ってくれた」
「あれね、元カノさんへの怒りもあったけど、それ以上に私なら悠輔くんを悲しませないのにって気持ちが強かったの…。私ならずっと側にいるのに、なんで私じゃないんだろって悔しくなってたの…。だから、みんなに帰ってって言ったの…、あんな姿見られたくなかったから…。」
「そうだったんだ…。」
「でも、悠輔くんはずっと私の側にいてくれて…うれしかった…。そのあと悠輔くんのためにご飯作ってるときも悠輔くんとお付き合いできたらこうしてるのかなって思いながら作ったし、おいしいってたくさん食べてくれて幸せだった…。」
「うん…、マジでうまかったからね!」
「それからお昼一緒に食べたりする事も増えて、お話する機会も増えたけど、私変わっちゃったんだ…。」
「変わった…?」
「悠輔くんのことを見ているだけじゃ足りなくなっちゃったの…。彼女になりたいって思ったの…。」

私、今どんな顔してるかな…
ちゃんと笑えてるかな…
わからないけど、気持ちは全部伝えなくちゃ

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