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Our Destination

第11章 届いてしまった、微かな香り

「玲佳、今日ここにしない?」
「えっ…?ここ…?」
「そう、ここ!」
とあるホテルの前で立ち止まり、悠輔が私に聞いてきた

「悠輔、本気なの…?」
「え?なんで…?」
「だって…ここってさ…悠輔の元カノさんの浮気写真のときのホテルじゃないの?」
「あっ…知ってたの…?」
「恵理ちゃんに見せてもらったの…。」
実は恵理ちゃんと学食でお話してたときに、例の浮気現場の写真を見せてもらっていた

「知ってたんだ…、じゃあやめよっか…。玲佳も嫌だよね…」
「私は嫌とかじゃないよ?でも…悠輔は嫌じゃないの?だって嫌な思い出のある場所じゃないの…?」
「そうかもしれないけど、玲佳と楽しい思い出できたら嫌なことも忘れられるかなって思っちゃってさ…。玲佳の気持ち考えてなかったね…」
悠輔は申し訳なさそうな顔で私を見ていた

「ねえ、悠輔…?」
「なに…?」
「私と楽しめたら嫌なこと忘れられるんだよね…?」
「そうだね…」
「じゃあ、いこ?」
「えっ…?」
少し驚いている悠輔に近づいて耳元で
「今は私が悠輔の彼女だもん…。私が全部忘れさせてあげるし、受け止めるから…。だから、行こ?ね…?」
「玲佳、ありがと…」
「ううん…?ほら、早く行こうよ!」
悠輔の手を引っ張り、中に入った

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