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Our Destination

第1章 緩やかに崩れだす、穏やかな日々

「なあ、悠輔。この写真見てくんないか?」
昼飯を食べるため、学食にいた小林悠輔はサークルの同期である高橋航平と話をしていた
「写真?なんのだよ」
「いいから、悠輔はちゃんと見たほうがいい」

なんとなく腑に落ちないまま、航平のスマホに映る写真を見るとそこには、別の大学に通う悠輔の彼女である斎藤実咲が知らない男と手をつなぎながらホテルに入る瞬間だった
「これって…いつだ?」
悠輔は何が起きているか理解できず状況を飲み込もうとするだけで精一杯だった
「昨日。恵理とホテル行こうと思って探してたときに見つけたから、つい撮った」
どうやら、航平は同じサークルに所属する彼女の水月恵理とホテルに行こうとしたときにたまたま見つけたらしい

「正直、悠輔に伝えるべきか恵理と話し合ったんだけど、 見ないふりはできない状況だろってことになって…俺も恵理もこんなのいいたくなかったよ」
「ありがとな…教えてくれて…」
何も考えられなくなっている頭で言葉を絞り出して、更につぶやいた
「悠輔、最後なんて…?」
「なんでもないよ…、俺、次あるから行くわ」
悠輔は席を立ち、次の授業へ向かおうとしていた

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