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妖魔の憂鬱

第2章 人成らざる者

壱星が言いにくそうに口を開く。
「相手は
この家の主人…女の旦那です・・・」
そうするには…優月があの男と…。

「なにそれっ!?夫婦ならほっときゃ良いじゃん!」

そう思う優月の意見は、最も真っ当なモノだと壱星も思うのだが…。

「ほっといて大丈夫なら…優月に
こんなお願いしてませんよ・・・」

日頃から食事として、優月が色々な男と媾う事を、壱星は知っているが…優月が自分の股ぐらの中で、相手の男の最後を受け止める事は無い、そんな事実にも壱星は気が付いていた。

それは優月が黒羽(くれは)と行動を共にして、記憶を消す様になる前からずっと変わらない事だ。

サキュパスの体液による催婬作用で夢うつつに成り、黒羽が居なかった頃は精子がその場に残されていたが…人間の世界で言うところの、夢精と信じられていた。この世界では、サキュパスとの情事は夢の中の出来事とされている。

そしてサキュパスが、人間の子を身籠る事はない。なので他のサキュパスは、人間達ともっと好き放題するのが珍しい事ではないが、優月は違っていた。優月が中に受け入れたりしないのは、彼女なりのルールが有るからなのだろう。

優月のそのルールを、壱星が自分の我儘で犯させるのは、本意ではない。不本意だが…そうしなくては、実を結べ無い。


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