テキストサイズ

林間学校

第3章 雨

バスは予定どおり昼前には林間学校の開催地であるキャンプ場に着いた。

かったるい注意事項の伝達が終わると昼食には弁当が配られて、グループに別れてオリエンテーリングに出かけるのが今日の予定だ。

翔太は綾音と同じグループになった。いつもみたいに口ゲンカばかりしちゃうけど良かったと思う。

比呂志は案の定貞子と同じグループになって、貞子になつかれてどんよりとしてオリエンテーリングに出かけて行った。
本当にちゃんと完歩できるかと心配になるぐらいにどんよりとしていた。

人の手が加えられたコースとはいえ山の中には野生の猿や鹿が出ることもあるので弁当を食べる場所には気をつけなければいけない。

中には弁当を野生の猿や鹿に食べられて怒っていたら野生の動物をイジメちゃいかんと先生に怒られるという理不尽な目に遭ったヤツもいた。

夏の山といえばお楽しみもあって・・

翔太は歩きながら良さそうな木に隠し持ってきた蜜を塗っておいた。これで仕掛けはバッチリだ。
明日の朝はこっそり早起きしてここへカブトムシやクワガタムシを捕りに来ようと思っていた。

「バカじゃないの、カブトムシやクワガタムシなんて、いつまでもガキなんだから」と綾音にはバカにされてしまった。

「いいじゃないか、これが男のコのロマンってもんだよ」と言い返してまた口ゲンカになる。

翔太たちのグループは見晴らしのいい休憩所で弁当にしたので野生の動物に奪われることもなく無事に弁当を食べることができた。少し遅めの昼食ではあったが・・

弁当を食べてしばらく歩くとグループの中の女子のひとりがおしっこがしたいと言い出した。すると連鎖的にもうひとりの女子もおしっこがしたいと言い出した。これが本当の連れションか・・

男子のひとりがじゃあ外でしちゃえばと木に隠れて野ションをすることを提案したので翔太もそれがいいと言った。

覗きに行くのはさすがに無理だけど音だけでも聞こえないかな、場所を覚えといて夜にこっそりおしっこを見にくるかなと変態的なことを考えてしまう翔太だが、考えてることは他の男子も同じだろう。

だが、男子たちの変態な提案はあっさりと却下された。

「バッカじゃないの、そんなことするわけないでしょ」と綾音のゲンコツが野ションを提案している男子どもに落とされた。

綾音は冷静に地図を見る。
現在地からもうすぐ近くにトイレがある。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ