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Nectar

第3章 新たな出会い


ー愛梨sideー

残業のせいか、今日は一段と疲れた…

しかも雨…大雨!

まだ暖かくなりきらない5月の雨は身に染みる…

寒さを感じながら駅から自宅までの道のりを歩く。

「ぅっわぁぁ!どうしよ…タマー!!!」

閑静な住宅街に響く高音ボイス…

出た…

XYZメンバーの近江遙稀(おうみはるき)…

通称ハルだ。

しょっちゅうこうやって叫んでいる。

とりあえず面倒くさいから関わりたくない。

そう思い、こんな雨なのに傘をほっぽり出してしゃがんでいる“末っ子2号”の横を通り過ぎようとすると…

猫を抱えてるのが目に入った。

あぁ…さっきタマって言ってたな…

う~ん…

雨に濡れて震えてる猫はさすがに可哀想だ。

愛梨「あの…どうかしましたか?」

遙稀「えっ…あの…あっ、どうしよ…」

コイツ、明らかにマズイって顔しやがった…

別に君には興味ないし!

愛梨「大丈夫なら失礼します。でも傘…」

一応、そばに転がっていた傘をハルに渡してその場を去る。

遙稀「あっ!待ってください!」

だから!声大きいって!!

遙稀「タマ…猫が!怪我してて…」

差し出してくるタマの前足を見ると確かに爪の辺りから血が出てて…

いや、それぐらいその辺の木に引っ掛けたんでしょ?

って程度なのに、パニック状態の末っ子2号。

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