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Nectar

第12章 胸の痛み

ー愛梨sideー

蓮に抱き締めてもらえるのはこれが最後かな…

そう思いながら手に握っていたピアス蓮のポケットにソッと入れた。

“疲れた”なんて言いたくなかった。

嘘ばかり並べた私の言葉の中にある唯一の“本音”だったから…

会えなくてもデート出来なくても全然良かった。

でも蓮…

もう疲れちゃったよ。

限界だよ。



助けて…蓮…

本当はそう言いたかった。

だけど私には名前を呼ぶ事さえ許されない気がした。

そんな顔しないで…

傷付かないで…

これ以上は見てられなくて部屋から追い出した。

もう立っている事すら出来なくてその場にしゃがみ込んだ。

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