テキストサイズ

Nectar

第12章 胸の痛み

ー愛梨sideー

タクシーで病院に着くと、そのまま上司の元へ向かった。

「今までよく頑張ったな。力になってやれなくてすまない…」

嫌がらせの件で迷惑かけて、たくさん気を遣わせてしまったのに…

クビにされててもおかしくなかったのに…

詳しい事情も話さずにいきなり辞めたいと言った私にこんな言葉をかけてくれて、涙が止まらなかった。

夏海「愛梨ちゃん…元気でね。絶対連絡ちょうだい。」

愛梨「先輩…」

2人で抱き合って泣いた。

他のみんなも集まってきて、たくさん激励の言葉をくれた。


……




足を診察してもらってる間に、夏海先輩が私の荷物を片付けてくれていた。

それをタクシーまで運んでくれて、そこで最後の挨拶をして別れた。

家に帰ると早速荷物をまとめる。

もちろん食欲なんてあるはずもなく、朝も昼も食べずに手を進めた。

必要なものだけで良いから量は少ないはずなのに、かなり時間がかかってしまうのは至る所に蓮との思い出があるから。

拭っても拭っても出てくる涙は枯れることを知らないらしい。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ