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Nectar

第12章 胸の痛み

笑えてるかな?

ちゃんと“嫌な女”に見えてるかな?

ちょうどタクシーが着いて、逃げるように乗り込もうとして手を掴まれた。

裕翔「お前…足怪我してんのか?」

何で?

何でこんな時に私の心配なんてするの?

溢れてきそうになる涙を必死に止めて、裕翔さんの手をそっと振りほどいた。

愛梨「蓮のこと…お願いします。」

それだけ伝えてタクシーに乗り込むと、すぐに出してもらった。


………

……




駅で両親や親戚にお土産を買っていると、あっという間に新幹線の時間になった。

もう少しここにいたいな…

少しだけそう思ってしまった私の気持ちを無視するように、予定通りに新幹線は発車した。

車内から見た東京の街はいつも通りに動いていて、余計に寂しい気持ちになった。

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