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Nectar

第13章 守れなかったもの

ー千里sideー

蓮の声が出なくなって3日が経った。

心因性失声症…

ストレスによるものだった。

愛梨ちゃんがこんな形で居なくなるんじゃなくて、少しでも助けを求めてくれてたら…

そしたら愛梨はこんなに苦しまなかったのに…

そう思って心の中で愛梨ちゃんを責める気持ちが少しあった。

でも…

すぐにそれを後悔した。



これ以上蓮の事がほっとけなくて、勝手に盗み見た蓮の携帯。

愛梨ちゃんの友達、由奈って子の事を聞いた事がある。

その子の連絡先を見て、自分の携帯から電話をかけた。

僕からの電話に驚いて切られそうになったけど今の蓮の状況を必死に説明した。

説得の末、会ってくれた彼女から知らされた真相に僕は涙が止まらなかった。

初めて会った年下の女の子の前で、恥ずかしいくらい号泣した。


………




そして…

今僕の前に居る蓮。

千里「蓮、愛梨ちゃんの友達の由奈ちゃんに会ってきた。それで全部聞いてきた。」

蓮「愛梨の居場所…分かったの?!」

やっぱり蓮のこんな声は何度聞いても聞き慣れない。

千里「うん。でもその前に話さなきゃいけない事がある。蓮…聞いたら今より辛くなるかもしれない。今のお前は耐えられるか?受け止められるか?」





蓮「俺、愛梨に会いたい。」

蓮のはっきりとした意思表示。

この気持ちさえあれば大丈夫だよね…?

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