U15っぽいけど実際はR18
第2章 太陽
「汚れてしまいましたね」
「眠れなかったものでして」
「今夜は眠れそうですか」
「おそらく眠るでしょう」
「話を戻しますが、先程の睡眠については言い訳ですか。それとも他のなにかですか」
「よく分かりませんね。指が動いたものでして」
ブランコは広大である。
何故か。
ブランコは重力に縛られた人間を開放するからだ。
そしてブランコは、壊れる。
金属疲労や過負荷によって、永遠に重力から解き放つ必殺技も持っている。
「話は変わりますが、そんなにブランコは楽しいですか」
「たのしいですね」
「どのあたりが」
「自分が乗れるからですかね」
「それは体重を支えてくれるという意味ですか」
「はい。私は重いのです」
「ブランコに包容力はありましたか」
「彼女はとても冷たかった。今も昔も」
「金属ですからね。知ってましたか。都会にはゴム製のブランコがあるらしいですよ。なんでも、子供がけがしないようにするためだそうで」
「それはブランコとは呼べないな」
キイキイなりながらも、ブランコはまだ私を支えていた。
汚れた私をキイキイと揺らす。
揺らしているのは私だが、揺れているのはブランコだ。
「ゴム製のブランコねぇ」
「まだ引きずりますか。女々しいですよ。堂々としなさい」
「ブランコではないな。それは、ブランコじゃないよ、うん」
「では何ですか」
「分からないけど、ブランコじゃないことは真実だ」
「ちっ、しっかりしやがれです」