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あなたに逢えて

第2章 始まり

「…………」
「…………………」

無言が続く

カチャカチャ

ピンセットを探す音が静かな保健室に響く

外を見るとオレンジ色に空が染まっている
夕日が保健室に光を差し込み
保健室もオレンジ色に染まった


* * *

俺はソファーに座ってるコイツを見た
もとからの綺麗な茶色の髪が夕日の光で
オレンジ色に染まってる

外を見るコイツの横顔にどこか淋しさが見えた

目が合い、無言のままもあれかと思い

「切なそうな顔してる」
「…バレたか」


なぁ…どうしてそんな顔すんだよ…


「…もう夕方になっちゃったか…」
「うん」

手当てが終わり荷物を持ち
帰ろうとしたとき

「ありがとう」
「いぇいぇ」

戸に手を掛けると

「あっ…私…梓」

名前を教えてくれた

「弘多」

お互いに名前を教えあう

* * *


荒く貼られたガーゼ
不器用だけどそれなりに一生懸命してくれた包帯
優しい声で気遣ってくれてる

パチリと目があった

「切なそうな顔してる」
「…バレたか」

クスリと笑うと
彼は優しい笑みを浮かべる

「もう夕方になっちゃったか…」
「うん」

彼が荷物を持つときに
お礼しなきゃ
そう思った

「ありがとう」

そう言うと
少し驚いた顔で目を見開いた
しかしすぐに優しく微笑み

「いぇいぇ」


「あ…私…梓」



「弘多」

名前を教えあった

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