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ビルの下でえんやこら

第2章 鏡

 ピーター・パンの全身が、そらジローに覆いかぶさる。

「ひ、ひ、ひ、ひゃあぁぁーーっ!!」

 ピーター・パンはすぐさま立ち上がり、早々と、事務所から立ち去った。

「えっ、ちょっと! 助けたんだから、なんか言ってけよ……え、どうなってる!?」とそらジローは、頭を起こして、鏡を見た。

「うわっ!!」

 思わず、腰を下ろしたまま後ずさる。

 鏡から、髪の長い女が、顔をだしている。

 そして、ジッとそらジローの姿を見つめた後、鏡の中に戻っていった。

 サボさんは、呆然と立ち尽くしている。

「サボさん! あれ、なんなんすか!? どうなってんすか、あの鏡!?」

 だが、サボさんは、突っ立ったまま、鏡を眺めているだけだ。

「サボさん、ここから出ましょうよ、ヤバいっすよ!!」

 そらジローは、立ち上がり、サボさんの方を引いた。

「……さだこ」

「え……」

「あれは……貞子だ……」

「さだこ? 誰っすか? 貞子って、なんなんすか!?」

 サボさんは、強い眼光で、そらジローを見た。

「空くん、すぐに、管理人の昭玄さんに電話してくれ」

「えっ!? こんな夜中にっすか?」

「至急、来てもらってくれ。頼む」

「いや、どうするんすか!?」

「……行ってくる」とサボさんは、落とし物のバッジを握り、事務所を出た。

「えっ!! ちょっと……え、電話……」
 
 そらジローは、小窓の前にある台の上の電話を取り、メモにある番号に電話をかけた。


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