ビルの下でえんやこら
第3章 家族
サボさんは、3階に上がった。
ライトを持たず、階段で向かい、そして、闇の中、ゆっくりと歩きながら辺りに意識を集中させた。
手には、あのバッジを握って……。
そして、端まで行くとエレベーターがある。
サボさんは、あえてエレベーターに乗らず、再び階段に向かう。
「この階ではないか……」
そして、4階に向かった。
ふと、目の前に、なにかが通ったような気がした。
サボさんは、階段を上りきると、呼吸を落ち着かせ、ジッと耳を澄ます。
「……」
なにかいるような気がした。
だが、不思議に怖くはなかった。
サボさんは、バッジを持った手をひろげ、中腰になると、大きく息を吸って、こう言った。
「これを……探してるのか?」
そう言った後、気配を感じなくなった。
失敗か……
すると、手のひらになにかが当たった。
いや、当たっているのではない。バッジをつまんでいるのだ。
いる。
それは、目の前にいる。
サボさんは、言った。
「そこにいるのは……光希弥か?」
別れた子供の名前を読んだ。
だが、なにも反応がない。
サボさんは、続けた。
「光希弥だろ? 昔、みんなから『みきゃん』って呼ばれてた、光希弥だろ?」
息子の光希弥は、友達の間で「みきや」の名前から「みきやん」と呼ばれ、やがて「みきゃん」と呼ばれるようになった。
ライトを持たず、階段で向かい、そして、闇の中、ゆっくりと歩きながら辺りに意識を集中させた。
手には、あのバッジを握って……。
そして、端まで行くとエレベーターがある。
サボさんは、あえてエレベーターに乗らず、再び階段に向かう。
「この階ではないか……」
そして、4階に向かった。
ふと、目の前に、なにかが通ったような気がした。
サボさんは、階段を上りきると、呼吸を落ち着かせ、ジッと耳を澄ます。
「……」
なにかいるような気がした。
だが、不思議に怖くはなかった。
サボさんは、バッジを持った手をひろげ、中腰になると、大きく息を吸って、こう言った。
「これを……探してるのか?」
そう言った後、気配を感じなくなった。
失敗か……
すると、手のひらになにかが当たった。
いや、当たっているのではない。バッジをつまんでいるのだ。
いる。
それは、目の前にいる。
サボさんは、言った。
「そこにいるのは……光希弥か?」
別れた子供の名前を読んだ。
だが、なにも反応がない。
サボさんは、続けた。
「光希弥だろ? 昔、みんなから『みきゃん』って呼ばれてた、光希弥だろ?」
息子の光希弥は、友達の間で「みきや」の名前から「みきやん」と呼ばれ、やがて「みきゃん」と呼ばれるようになった。