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ビルの下でえんやこら

第4章 真相

「どうしたんです!? なにかありましたか?」とビルの管理人、昭玄武(あきつねたけし)が問いかける。

「いや、鏡、この鏡から、人が……」

 アルバイトの芸人、そらジローが、壁にかかった鏡を震えながら指を差す。

「鏡……が、どうかしました? まさか、中に入ると、広大な草原があって、旅をしなくちゃ……」

「それ、別の話です。違います、さっき、ここから人が出たんですよ」

「人が? 鏡から? そんなバカなことがあるか。ホラー映画やほん怖の見すぎだよ」

「いや、本当だよ、調べてみてよ……」

「調べるって……」

 武は、鏡の裏を見る。

 壁から抜けるような、穴もなにもない。ここからどうやって人が出るのかと、呆れて首を捻る。

 鏡を元通りの位置に戻すと、鏡には、自分の姿と、その後ろに、サボさんの姿が見えた。

「あ、サボさん、実は、そらジローくんが……」と振り返る。

 だが、そこには、サボさんは、いない。

「あれ?」

 鏡に向いた瞬間、鏡から伸びる2本の腕が、武の胸ぐらを掴んだ。

「うわぁっ!!」

 突然の異状現象に、驚きと同時に体がすくむ。

「うわわわわわ!! で、で、出たぁーーーー!!」

 そらジローも、ひっくり返る。

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