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ビルの下でえんやこら

第4章 真相

「空っ!! こいつの足を上げろ!!」とサボさんの声がする。

 抵抗を続ける、武。だが、その腕はしっかりと自分を掴み、なかなか離れない。

「空っ!! 早くやれっ!!」

 サボさんの声は、鏡の方から聞こえてくる。

「ええええーーっ!! サボさん、ど……どこにいるんですかぁっ!?」

「説明してる暇はない。早くこいつを持ちあげろ!」

 姿の見えないサボさんの声が、そらジローに突き刺さる。

 だが、あまりの現状に、体がすぐに動かない。

「なんで、なんで、管理人さんですよっ!? てか、持ち上げてどうなるんすかっ!?」

 そらジローは、今の状況をまず知りたかった。

 武も必死に、抵抗を続ける。

「この……離せっ!!」

 車の鍵を手にとり、自分を掴む手に何度も先を突き刺した。

「いい加減に離せっ!!」

「あつっ……空っ……早くしろっ!! 持ちあげろぉーっ!!」

「はぁ、はぁ、はぁいっ!!」

 そらジローは飛び付くように、武の両足にしがみついた。

「おい、よせ、やめろ」

 武の体が、ぶわっと浮いた。

 そらジローの心は、恐怖に支配されていた。

 やらなきゃ、自分になにかが起こるに違いない。

 サボさんの声を真似た、魔物……そう思った。

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