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ビルの下でえんやこら

第4章 真相

 間違いない、二人のお陰だ。

 サボさんは、そのバッジを手のひらにのせ、こう語った。

「ありがとう、お前達が、俺を導いてくれたんだな。あの場所にいることを、教えてくれたんだな。そして、過ちまで修正してくれた……ありがとう……ありがとう……」

 鏡の中、いや、夢の中だったのかもしれない。それでも、自分は人を殺めた。昭玄武を死に追いやったのは、自分だ。

 しかも、家族との思い出をいつまでも見ていたい……そのために使っていた薬物……妻、貞子は、こんな自分を見て、涙を流したに違いない。検事だった自分を汚している夫の姿は、見たくはなかったのだろう。

 サボさんは、悔い改め、心深く懺悔した。 

 長かった梅雨は晴れ、本格的な夏がくる。

 サボさんには、ゆっくりビールを飲んで、夏を満喫する暇なんてない。

 今回の件に関して、残された課題はまだまだたくさんある。

 まだ、サボさん自身、どこから、どこまでが現実なのかがわからない。

 鏡の中に入ったのは自分だけなのか?

 本当にあの世界が、あったのか……。


 あの、英会話講師、ピーター・パンにも聞いてみるつもりだ。

 胸に、あの缶バッジをつけて……。











【これで勘弁して……】












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