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ビルの下でえんやこら

第4章 真相

 そらジローもサボさんも、警備員のバイトを辞めた。

 サボさんは、自身が違法な薬物を使用したことを、警察に自首した。

 だが、使用していた薬は違法性のない、精神安定剤だった。しかも、アラジンという薬局は、存在しなかった。

 サボさんは、頭を捻る。

 どこまでが現実なんだろう?

 なぜ、昭玄武は、突然、遺体の場所を明かし、命を失ったのだろう?

 しかも、自分の行動が一部リセットされ、違法薬物を使った事実が、かき消されている。

 ビルの下から見付かった骨は、DNA鑑定の結果、やはり、サボさんの妻、貞子と、息子の光希弥のものと判明。

 すでに、時効を迎え、打ち切りとなっていた事件だったが、改めて真相追求のための捜査が行われた。

 被害者であり、検事として加害者の組織との面識があったサボさんも、捜査に協力した。

 だが、壁に埋められた遺体の謎は、いまだにその扉の鍵が見付からないままであった。

 警察が側は、亡くなった昭玄武が、BLの残党だったとして、仲間を殺害したのではないかという、見方を強めた。

 サボさんは、思った。

 たった1つ、この手に握られた、缶バッジ。

 息子の光希弥が残してくれた、たった1つの思い出。

 貞子と二人で、自分を救ってくれた……そう感じずには、いられなかった。

 このバッジが、自分をまともな方向へ、導いてくれた。

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