え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?
第3章 祝福と忠誠と
そこへ、ぱたぱたと少女が駆けてきた。左右には二人の男性を従えている。
「お兄さま、詩菜お姉さま!」
「夢芽《ゆめ》ちゃん」
九重夢芽――夕謡の妹にして、九重家次期当主だ。ふわふわの長い髪に、陶磁器のような肌。夢芽ちゃんは、まるでドールのような美少女なのだ。
その夢芽ちゃんが従えるのは、双子の真《しん》と清《せい》。九重家の使用人にして、夢芽ちゃんの専属クリフェラ係である。
「お姉さま、お兄さまがクリフェラ係になられて良かったわ! おめでとう……!」
夢芽ちゃんはわたしの両手をとり、まるで自分のことのように喜んでくれる。
「おめでとうございます、詩菜さま」
「とてもようございました」
夢芽ちゃんの背後で、真と清も軽く両手を叩いて祝福してくれる。
皆に総出で祝われて、わたしはこそばゆさを抑えられない。そっと夕謡を見上げると、彼はそこはかとなく誇らしそうな表情をしていた。
「今夜は夕飯の時間を早めるから、これまでのぶんを取り戻しなさいね、夕謡」
「もちろんだよ、母さん。詩菜にはこれまで辛い思いをさせたから、たっぷりと満たしてあげる。ね、詩菜?」
わたしは思わずうつむいたけれど、やがてしっかり顔を上げた。夕謡の、みんなの想いにわたしも応えるべきだと思ったのだ。
「ありがとう、夕謡。これからも……よ、よろしくお願いします……」
語尾は消え入りそうになってしまったが皆に思いは伝わったようだ。伯母さまも夢芽ちゃんも真と清も、嬉しそうに微笑んでいる。
夕謡はそんなわたしの右手をそっと手にとった。。
「僕のお姫さま。僕はきみに永久の忠誠を誓うよ」
そうして恭しく手の甲にキスを落としてくれたのだった。
「お兄さま、詩菜お姉さま!」
「夢芽《ゆめ》ちゃん」
九重夢芽――夕謡の妹にして、九重家次期当主だ。ふわふわの長い髪に、陶磁器のような肌。夢芽ちゃんは、まるでドールのような美少女なのだ。
その夢芽ちゃんが従えるのは、双子の真《しん》と清《せい》。九重家の使用人にして、夢芽ちゃんの専属クリフェラ係である。
「お姉さま、お兄さまがクリフェラ係になられて良かったわ! おめでとう……!」
夢芽ちゃんはわたしの両手をとり、まるで自分のことのように喜んでくれる。
「おめでとうございます、詩菜さま」
「とてもようございました」
夢芽ちゃんの背後で、真と清も軽く両手を叩いて祝福してくれる。
皆に総出で祝われて、わたしはこそばゆさを抑えられない。そっと夕謡を見上げると、彼はそこはかとなく誇らしそうな表情をしていた。
「今夜は夕飯の時間を早めるから、これまでのぶんを取り戻しなさいね、夕謡」
「もちろんだよ、母さん。詩菜にはこれまで辛い思いをさせたから、たっぷりと満たしてあげる。ね、詩菜?」
わたしは思わずうつむいたけれど、やがてしっかり顔を上げた。夕謡の、みんなの想いにわたしも応えるべきだと思ったのだ。
「ありがとう、夕謡。これからも……よ、よろしくお願いします……」
語尾は消え入りそうになってしまったが皆に思いは伝わったようだ。伯母さまも夢芽ちゃんも真と清も、嬉しそうに微笑んでいる。
夕謡はそんなわたしの右手をそっと手にとった。。
「僕のお姫さま。僕はきみに永久の忠誠を誓うよ」
そうして恭しく手の甲にキスを落としてくれたのだった。