え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?
第9章 街での出来事
「あ――つっかれた!」
蓮路が肩に手をあてて伸びをする。わたしと依里子は夕謡と蓮路に礼を言ったのち、依里子がふたりに訊ねた。
「どうして、蓮路と九重くんがいっしょにいたの? 九重くんは学校帰りじゃないわよね?」
「ああ、そうだよ」
蓮路は制服だったが、夕謡は私服で軽く変装をしていた。引退したとはいえ、元アイドルなのだ。
「ちょーどそこで会ったからな。世間話してたら、依里子の悲鳴が聞こえて」
「うん。……危ないところだった、詩菜」
そう言って夕謡はほっとしたように息を吐《つ》く。
「にしても坊ちゃんもけっこうやるんだな。関心したぜ」
それはわたしも驚いたことだった。幼いころの夕謡は、けっして体力のある子供ではなかったからだ。
「いざという時、詩菜を護れなかったら僕が後悔するからね。こっそり合気道を習ってたんだ。今も道場の帰りだよ」
「そうなんだ……。ありがとう、夕謡」
「どういたしまして、詩菜」
夕謡が変装のマスクをとって微笑む。そのにじむような笑顔に、わたしは胸が高鳴るのを感じた。
(そうだよ夕謡って――アイドルだったんだもん。かっこよくて当然だよね……)
蓮路が肩に手をあてて伸びをする。わたしと依里子は夕謡と蓮路に礼を言ったのち、依里子がふたりに訊ねた。
「どうして、蓮路と九重くんがいっしょにいたの? 九重くんは学校帰りじゃないわよね?」
「ああ、そうだよ」
蓮路は制服だったが、夕謡は私服で軽く変装をしていた。引退したとはいえ、元アイドルなのだ。
「ちょーどそこで会ったからな。世間話してたら、依里子の悲鳴が聞こえて」
「うん。……危ないところだった、詩菜」
そう言って夕謡はほっとしたように息を吐《つ》く。
「にしても坊ちゃんもけっこうやるんだな。関心したぜ」
それはわたしも驚いたことだった。幼いころの夕謡は、けっして体力のある子供ではなかったからだ。
「いざという時、詩菜を護れなかったら僕が後悔するからね。こっそり合気道を習ってたんだ。今も道場の帰りだよ」
「そうなんだ……。ありがとう、夕謡」
「どういたしまして、詩菜」
夕謡が変装のマスクをとって微笑む。そのにじむような笑顔に、わたしは胸が高鳴るのを感じた。
(そうだよ夕謡って――アイドルだったんだもん。かっこよくて当然だよね……)