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え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?

第9章 街での出来事

 必死に言い募った、その時。

「やめろっ!」

 誰かが後ろから駆けてきて、男とわたしを引きはがした。わたしはその衝撃で路面へと倒れ込む。
 体をよじって必死に振り返ると、夕謡が男と対峙していた。

「なんだてめー。この女のクリフェラ係かぁ?」
「そうだ」
「へぇ、おもしれーじゃねぇ、のっ」

 男は言葉に載せて、夕謡に拳を振りかぶった。

「夕謡!!」

 わたしは悲鳴をあげる。
 だが夕謡は体をのけ反らせ、男の拳を寸でのところで受け流す。そうして、勢いあまって倒れそうになった男の腕を背後から掴み、捻りあげた。

「て、てんめー……っ」
「甘くみないでもらいたいね。これでも努力して、詩菜を護れる力を手に入れたんだ」

 夕謡がぐっと手に力を込めると、男は脂汗を噴き出して黙った。

「おい九重の坊ちゃん、コイツらどうするよ?」

 その声に振り返ると、依里子を抱き寄せて立つ蓮路《れんじ》の姿があった。
 その足元には、男が伸《の》されて転がっている。

「そこの角を曲がったところに交番がある。連れていこう」
「だ、な」

 夕謡は男を戒める手の力を弱めずに言った。
 わたしたちは男たちを交番へ連れて行き、みずからも簡単な聴取と書類を書かされ、そして解放された。

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