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え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?

第10章 想い、重ねて

「夕謡……?」
「いや、かな」

 夕謡は困ったように首を傾げた。

「い、いやじゃない! いやじゃないよ……!」

 むしろ、してほしくて堪らないのだ。
 夕謡が微笑んで、腰をかがめる。そして、彼の顔が近づいてきて――

「……ん……っ」

 そっと、くちづけられる。
 わたしは感動で、胸がじーんと熱くなるのを感じた。

 触れるだけのキスの後、夕謡がすこし顔を離して言った。

「ごめん詩菜。もう、我慢できない」

 熱く湿った吐息が触れて、その後、さらに熱いくちびるが落ちてきた。

「ん……んん……っ」

 何度も何度も、貪るようにくちづけられる。上くちびるを夕謡のくちびるで挟まれると、そこから甘い痺れが広がった。

「……?」

 熱い塊が、くちびるをこじ開けて侵入してくる。

「ん……にゅ……んん……」

 夕謡が舌を絡ませてきて、わたしもそれに応じる。お互いを確かめるように貪り合うと、体の芯が熱をもってきた。

「ふ……ん、んんぅ……っ」

 ちゅぷちゅぷと唾液を交換する音がする。キスがこんなにいやらしいなんて知らなかった。腰が、揺れてしまう。

「……は……っ」
「しい、な……っ」

 くちびるを離すと、銀の糸が引く。わたしは瞳を開けて、夕謡の瞳に自分のそれと同じものを見た。彼の瞳には、たしかな欲情が灯っていたのだ。

「夕謡……わたし」

(――抱いてほしい)

 その時わたしは、たしかにそう思った。そして、あることに気が付いたのだ。

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