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え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?

第10章 想い、重ねて

「あ……」

 思わずのように声を漏らすと、夕謡はわたしの視線の先を追って、わずかに狼狽えるような顔をした。

「僕、は……」

 夕謡のそこ――ウエストの下あたりが、たしかな質量をもってズボンを押し上げている。夕謡のそうした姿を見るのははじめてだった。
 そういえば、なぜ彼は今まで勃起しなかったのだろう。わたしは今さらのように気が付いた。

「ねぇ、今まではどうして、その……勃起しなかったの?」
「……っ」

 夕謡が瞳を揺らす。彼はしばらく黙っていたが、やがて口を開くと、こう言った。

「してたよ、いつも。でも……隠してた」
「……どうして?」

 夕謡は言いにくそうに口を何度か開いては閉じた。そして。

「……怖いんだ。詩菜を壊してしまうのが」

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