え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?
第11章 思いがけぬ訪問者
「まぁ、いいじゃない!」
皆でテーブルについて夕食をとる。夢芽《ゆめ》ちゃんと、ふだんは留守がちな伯母さまと伯父さまも、今夜はその場にいた。
伯母さまは燈多の申し出に、手を合わせて喜んだ。
「思えば小さいころは、三人とても仲良しだったものね」
伯母さまが懐かしそうに目を細める。だけど、わたしは。
わたしが口を開きかけた時だった。
「悪いけど母さん、詩菜のクリフェラ係は僕ひとりだけだよ」
夕謡が伯母さまを見据えて言った。
「でも夕謡、年頃の女の子が、たったひとりしかクリフェラ係を持たないなんて勿体ないわ。それに燈多だって、詩菜ちゃんを好いているのよ?」
「ああ、母さん。おれはずっと、しーちゃんのクリフェラ係になりたかった」
「兄さん。悪いけど僕のほうがずっと詩菜を想ってるよ」
夕謡のその言葉に、場の緊張が高まるのがわかった。
「ずるいな夕謡。しーちゃんを独り占めしようだなんて」
「そうじゃない。詩菜だってクリフェラ係は僕一人で満足してる筈だよ」
夕謡と燈多が睨みあう。燈多には申し訳ないけれど、ここはわたしがはっきりさせなければならない。
「燈多お従兄ちゃん。夕謡の言うとおり、わたしは夕謡ひとりで満足……、ううん。夕謡のクリフェラしか受けたくないの」
「しーちゃん」
燈多が驚きの表情を浮かべてわたしを見る。胸が痛むが、ここは譲れないのだ。
「ごめんね、お従兄ちゃん」
「…………」
それきり、燈多は何も言わなかった。伯母さまは残念そうにしていたけれど、やがて食事を再開した。
だから、皆もそれにならって食事に戻ったのだった。
皆でテーブルについて夕食をとる。夢芽《ゆめ》ちゃんと、ふだんは留守がちな伯母さまと伯父さまも、今夜はその場にいた。
伯母さまは燈多の申し出に、手を合わせて喜んだ。
「思えば小さいころは、三人とても仲良しだったものね」
伯母さまが懐かしそうに目を細める。だけど、わたしは。
わたしが口を開きかけた時だった。
「悪いけど母さん、詩菜のクリフェラ係は僕ひとりだけだよ」
夕謡が伯母さまを見据えて言った。
「でも夕謡、年頃の女の子が、たったひとりしかクリフェラ係を持たないなんて勿体ないわ。それに燈多だって、詩菜ちゃんを好いているのよ?」
「ああ、母さん。おれはずっと、しーちゃんのクリフェラ係になりたかった」
「兄さん。悪いけど僕のほうがずっと詩菜を想ってるよ」
夕謡のその言葉に、場の緊張が高まるのがわかった。
「ずるいな夕謡。しーちゃんを独り占めしようだなんて」
「そうじゃない。詩菜だってクリフェラ係は僕一人で満足してる筈だよ」
夕謡と燈多が睨みあう。燈多には申し訳ないけれど、ここはわたしがはっきりさせなければならない。
「燈多お従兄ちゃん。夕謡の言うとおり、わたしは夕謡ひとりで満足……、ううん。夕謡のクリフェラしか受けたくないの」
「しーちゃん」
燈多が驚きの表情を浮かべてわたしを見る。胸が痛むが、ここは譲れないのだ。
「ごめんね、お従兄ちゃん」
「…………」
それきり、燈多は何も言わなかった。伯母さまは残念そうにしていたけれど、やがて食事を再開した。
だから、皆もそれにならって食事に戻ったのだった。