え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?
第15章 氷解する心
「詩、菜……」
夕謡はしばらくそのままの体勢でいた、だが、やがて。
「立って、詩菜」
「夕謡?」
「僕に許しを請うきみなんて、見たくない……きみは、悪くない、から」
「……夕謡……」
夕謡がわたしを立たせて、ソファまで連れて行ってくれた。そのまま、ふたり並んで腰かける。
「……僕の嫉妬がお門違いだってことは、わかってるんだ。詩菜は女の子だから、僕以外にクリフェラ係をもっても、何も責められる道理はない。それでも僕は……詩菜のたったひとりのクリフェラ係でありたくて……」
「夕謡……わたしね、思い出したんだ」
わたしは先ほど言えなかったことを切り出す。今度は夕謡も耳を傾けてくれた。
「小さなころ……三歳くらいだったかな。燈多お従兄ちゃんに連れられて、ストゥプラに遊びに行ったことがあるんだ」
わたしが三歳ということは、燈多は七歳。ストゥプラの小学部一年だったのだろう。
「その時、お従兄ちゃんとはぐれて、たぶん高等部の学舎に迷い込んじゃったんだ」
夕謡は黙って続きを促す。
「そこで、クリフェラを受ける女子と、奉仕するクリフェラ係を見かけたの」
「……それで?」
「二人とも、すごく幸せそうだった。気持ちいいだけじゃなくて、お互いを想い合ってるのが伝わってきたんだ。……だから」
わたしは夕謡をひたと見据えて続きを言った。
「だから、夕謡にわたしのクリフェラ係になってほしい、って言ったの。あの二人に、すごく、憧れたから……」
「……詩菜……」
夕謡はしばらくそのままの体勢でいた、だが、やがて。
「立って、詩菜」
「夕謡?」
「僕に許しを請うきみなんて、見たくない……きみは、悪くない、から」
「……夕謡……」
夕謡がわたしを立たせて、ソファまで連れて行ってくれた。そのまま、ふたり並んで腰かける。
「……僕の嫉妬がお門違いだってことは、わかってるんだ。詩菜は女の子だから、僕以外にクリフェラ係をもっても、何も責められる道理はない。それでも僕は……詩菜のたったひとりのクリフェラ係でありたくて……」
「夕謡……わたしね、思い出したんだ」
わたしは先ほど言えなかったことを切り出す。今度は夕謡も耳を傾けてくれた。
「小さなころ……三歳くらいだったかな。燈多お従兄ちゃんに連れられて、ストゥプラに遊びに行ったことがあるんだ」
わたしが三歳ということは、燈多は七歳。ストゥプラの小学部一年だったのだろう。
「その時、お従兄ちゃんとはぐれて、たぶん高等部の学舎に迷い込んじゃったんだ」
夕謡は黙って続きを促す。
「そこで、クリフェラを受ける女子と、奉仕するクリフェラ係を見かけたの」
「……それで?」
「二人とも、すごく幸せそうだった。気持ちいいだけじゃなくて、お互いを想い合ってるのが伝わってきたんだ。……だから」
わたしは夕謡をひたと見据えて続きを言った。
「だから、夕謡にわたしのクリフェラ係になってほしい、って言ったの。あの二人に、すごく、憧れたから……」
「……詩菜……」