え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?
第15章 氷解する心
「何? また僕にレイプされたいの」
ノックしても返事がないので、わたしは了解を待たず夕謡の部屋へ足を踏み入れた。
そんなわたしを夕謡は一瞥して、そう声をかけたのだ。言葉の激しさとは裏腹に、聞くものの心を冷え冷えとさせるような、そんな声音だった。
わたしは自らを奮い立たせて、笑顔を作った。
「できればSEXがいいな。……夕謡のこと、好きだから、夕謡とちゃんと愛しあいたいよ」
「…………」
「ねぇ夕謡。わたし、子供の頃のこと思い出して……」
「SEXしたいのは、兄さんとだろ」
夕謡はわたしに向き直ることのないまま、わたしの言葉を遮って言う。
「兄さんにクリフェラされて、あんなに甘い声だして……っ」
「違う、夕謡……っ」
「何が違うんだよ!!」
夕謡が激昂する。わたしは怖気づきそうになったが、ここで引くわけにはいかない。
「燈多《とうた》お従兄《にい》ちゃんに触れられて、気持ちよくなっちゃったのは本当。夕謡を傷つけて、とても反省してる。でも、クリフェラはしてもらってないよ!」
「……ふぅん」
「クリフェラは、わたしにとって特別だから。クリフェラ係は夕謡だけだから……」
夕謡はやっとわたしのほうを見てくれた。
「……ごめんなさい、夕謡」
わたしはその場に膝をついて、そして頭を下げた。夕謡が息を呑む。
「詩菜、きみは……」
「わたしは、夕謡を愛してます。だから、どうか許してほしい……」
「……っ」
夕謡は椅子から立ち上がり、こちらへと近づいてくる。やがて足音はわたしの前で止まった。
「僕にあんなことされたのに、きみは……」
そう言って、夕謡は膝を折った。
「……きみは、僕を許せるの」
夕謡が絞り出すように言う。
「夕謡を追い詰めたのはわたしだもん。許すも許さないもないよ」
ノックしても返事がないので、わたしは了解を待たず夕謡の部屋へ足を踏み入れた。
そんなわたしを夕謡は一瞥して、そう声をかけたのだ。言葉の激しさとは裏腹に、聞くものの心を冷え冷えとさせるような、そんな声音だった。
わたしは自らを奮い立たせて、笑顔を作った。
「できればSEXがいいな。……夕謡のこと、好きだから、夕謡とちゃんと愛しあいたいよ」
「…………」
「ねぇ夕謡。わたし、子供の頃のこと思い出して……」
「SEXしたいのは、兄さんとだろ」
夕謡はわたしに向き直ることのないまま、わたしの言葉を遮って言う。
「兄さんにクリフェラされて、あんなに甘い声だして……っ」
「違う、夕謡……っ」
「何が違うんだよ!!」
夕謡が激昂する。わたしは怖気づきそうになったが、ここで引くわけにはいかない。
「燈多《とうた》お従兄《にい》ちゃんに触れられて、気持ちよくなっちゃったのは本当。夕謡を傷つけて、とても反省してる。でも、クリフェラはしてもらってないよ!」
「……ふぅん」
「クリフェラは、わたしにとって特別だから。クリフェラ係は夕謡だけだから……」
夕謡はやっとわたしのほうを見てくれた。
「……ごめんなさい、夕謡」
わたしはその場に膝をついて、そして頭を下げた。夕謡が息を呑む。
「詩菜、きみは……」
「わたしは、夕謡を愛してます。だから、どうか許してほしい……」
「……っ」
夕謡は椅子から立ち上がり、こちらへと近づいてくる。やがて足音はわたしの前で止まった。
「僕にあんなことされたのに、きみは……」
そう言って、夕謡は膝を折った。
「……きみは、僕を許せるの」
夕謡が絞り出すように言う。
「夕謡を追い詰めたのはわたしだもん。許すも許さないもないよ」