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ねぇ、私に好きを教えて…?

第2章 生きた屍

「やっぱり病院は大変そうだったなぁ。
とりあえず、骨折とかなくて良かったわ。
薬飲んで、安静にして、飯たくさん食うこと。
おしっ!俺気合い入れて飯作るわ!!」

「…佐山さんが、来てくれたので。
落ち着いて病院の先生にも話せました。」

「そかそか。ゆっくりでいい。
少しずつ、前に進めばいいからな。
俺のハンドパワーで安心するならなんぼでも貸すからこの手で良ければ。笑」


星羅ちゃんが点滴や傷の手当てしてもらってる間に、俺は医師に呼ばれてた。
一応、友達って事で姉貴に通してもらってるから。

暴力、性的暴行、精神的暴力。
詳しくは言わなかったが、それは想像の範囲内。
見てわかる状態だったから。
昨日今日の傷ではなく、長年積み重なったものだから回復は時間が必要である、と。

診断書ももらったし、薬も貰ったから
あとは星羅ちゃんが話せるようになるまで待つだけ。


俺ってなんて無力なのだろうか。
同じ男として、許せない行為だ。

事後報告にはなってしまうが
警察には俺が行って話してきた。
落ち着いたら本人を連れてきて、という事だった。


家に帰ってから吐き気が止まらなく
吐いてた星羅ちゃん。
緊張してたよな。よく頑張った。

「しばらくはどこも行く事ないから、落ち着いた時に姉貴と話そう。警察にも行かなきゃいけないけど、警察には姉貴も行ってくれるから。
大丈夫よ、俺より口悪いけど性格俺みたいなもんだから。俺と話せるなら姉貴とも話せると思う。」

「…すいません。」

「謝らないの。大丈夫。
俺は星羅ちゃんを裏切るような事はしない。
今日はよく頑張った。
ゆっくり寝ろよ?俺明日仕事だけど、家にある物好きに使って良いから。
何か必要なものあれば連絡して?
あ、でも外には出ないこと。」

「…はい。
失礼します…。」



星羅ちゃん、どれだけつらかったんだ。
どれだけ苦しんできたんだ。
あの悲しい笑顔の裏には
抱えきれないほどの荷物があったんだな。

…ゆっくりでいい。
少しずつ、一歩ずつでもいい。
星羅ちゃんに元気になってもらいたい。

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