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ねぇ、私に好きを教えて…?

第2章 生きた屍

「…私、頼り方とか信頼の仕方が
今もわからないんです。
ずっと、わからないままで生きて来たんです。
だから親しい友達なんていません。
…そんな私が。
つらいって思った時に頭に思い浮かんだのが
佐山さんでした。」

「俺?」

「はい…。
誰かを信じることが怖くて、これからは1人で頑張るんだって決めて地元から離れてここへ来たのに。
佐山さんを失うことが恐ろしく感じました…。」

「…俺はいなくならねぇよ。」

「そんなのわからないですよ。
人は簡単に人を裏切ります。
平気で仲間を売ります。
…だから、だから私は傷つきたく無いから。もう同じ思いをしたく無いから。
最初から信じなきゃいいんだって思ったんです。」

「…うん。」

「家族にも傷付けられて、友達にも裏切られて。
初めて信用出来た人は暴力が酷くて。
もう、何もかもが嫌になってた時に優しく手を差し伸べてくれたのが佐山さんです…。
出会ってそんな経ってないのに、元彼の時は1年かけてやっと信用出来たくらいなのに…。」

「…。」

「…でも、もしまた信用したら?
また誰かを信用することによって、誰かを失うなら…?それは私のせいです。
家に帰ってからとてつもない恐怖と不安に押しつぶされてしまったんです…。
佐山さんを失いたくない…、咲さんを失いたくない。けど、本当は迷惑してるんじゃないか…。
もう誰も信じないって決めたはずなのに、また同じことを繰り返すのか私はって…。」

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