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ねぇ、私に好きを教えて…?

第2章 生きた屍

「…じゃあ、どうすればいいのよ。
どうすれば解放されるわけ?
この苦しみから解放してくれんの?」



「…って言ったら、その元彼。なんて言ったと思います?この私に、そしたら俺と友達になろう。よし、じゃあ友達になった記念にご飯食べに行くぞ。ってファミレスに連れていかれたんです。
そんなこと言って結局ヤれれば良いんだろうこの人もって思ったんです。
なのに、ただあの人がペラペラとその日にあったこととかを私に話してご飯食べて終わりだったんです。家まで送ってくれて、私になんか1回も触れることがなかったんです。」

「…うん。」

「それから、毎日連絡きて。
ご飯食べに行こうとか、ドライブ行こうとか。
突然花火持ってきて花火しようって言いだしたり。
変わった人だなぁって思ったんですけど、不思議と嫌いではなかったんです。
1年ほど、こんな関係が続いてたんですけどからが私に触れることは無かったんです。
それが安心できてたんです。
前までの私じゃ考えられなくて。
…それである時、彼に聞かれたんです。
なぜあんなことしてたのか、と。」

「…うん。」

「全て話しました。
誰も信じないで生きて行こうと。
でもそう言った時に気付いたんです。
誰も信じないって思っていたはずなのに、彼のことを信用している自分がいることを。
話して嫌われるなら、今のうちに嫌われた方が楽なんじゃないかって。そう思ったら悲しくなったんです。」

「…。」

「これが人を好きになるという事なんだと…。
失いたくないって、大切にしたいって思うことが私にもできたんだ、と。
それから、彼との交際が始まったんです。
…毎日楽しくて幸せと思えて。
これが人を好きになることなんだと思いました。」

「…そんな彼が、どうして…。」

「…彼、束縛がひどかったんです。
私が前向きに過ごせるようになって、就活をして仕事を始めたのがきっかけでした。
残業でも早出の日でも、本当は仕事じゃないだろと疑われるようになってしまって。
殴られたんですけど、彼きちんと謝ってくれたので。私が仕事遅いから心配かけてしまうのだと。
でも段々とエスカレートしてきてしまって…。」

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