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『ま゜』

第9章 脱出

 ゲームの神は、ひっそりと山の麓にある廃屋の中で、息を引き取った。

“ちょっと待ちいなおばちゃん”

 謎の声がした。

(誰……私を呼ぶのは……)

“ごめんごめん、急な話で……あんた、ゲームが好きなんやろ”

(ゲーム……私の命)

“おおおっ!! グッドタイムィーング! それやったら、ちょうどいい。あんた、初代ゲームの神様にならないかね?”  

(ゲームの神?)

“これから先、ゲームは様々な色付けをされていき、進歩に進歩を重ねて、今では想像もつかない世界を産み出してくる。それを見守り、発展させていく……どうだ?”

(ゲームが出来るの?)

“もちのろんろん。寝る必要もない、飲食する必要も排便もない。病気もしない。ずっと、見届けて、自由に好きなゲームで遊べる。ただ、二度と人間に生まれ変わることは出来ない”

(やります。10年先、20年先、30年40年先のゲーム……見てみたい)

“ならば、もう、あんたの存在は、この世からは抹消される。誰の記憶にも残らなくなるぞ”

(かまいません)

“ならば、肉体も、我が世界へ誘おう”

 こうして、初代ゲームの神が誕生した。



「で、あなたは、そろそろ2代目のゲームの神を選ぼうと……」

“そうなんじゃが、今のゲームは、なかなか扱いきれんでなぁ。なかなか難しいし、私が扱えるのが、80年代から90年半ばのゲームばかりになってなぁ。今のゲームについていける、若いプレイヤーが欲しかったのだ”

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