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『ま゜』

第9章 脱出

 ここに、名探偵音子が生まれた。

「なるほどね。つまり、ゲームの神は自分の後継者を見つけるため、最近売り出した家庭用ゲーム機、ファミゲーポータブルコレクションにアンテナをはった。そして、神の能力で、ファミゲーポータブルコレクション、略してファミコレで遊んでいる家を調べ、無作為に、この世界へと引きずりこんだ。そうだな?」

“その通りです”

 ゲームの神は、思わず膝をつく。

「だが、あんたのターゲットは、子供だったのか?」

“違います……レトロなゲームが好きそうな40代から50代の男性、または女性……子供が釣れるなんて思ってもみなかった”

「なるほど……たしかに、ファミコレは今の40代50代が子供の頃に夢中になった作品ばかり。だから、ゲームから引きずりこむのを、ファミコレプレイヤーに絞ったわけね。でも、残念。その年代の人達は、今は、スマホゲームにハマった人が多いのよ」

“スマホ……だと? あれは、電話だろ!?”

「今は、あれでゲームが楽しめるの」

 音子が言うと、ゲームの神は頭を押さえながら天を仰ぐ。

“スマホじゃとぉーーっ!! あんなもの、ゲームではないわっ!! あんな小さい画面で遊ぶものは、テレビゲームではない。だから、私は、ゲームボーイもワンダースワンもDSも、認めてはおらんのだ”

「ゲームの神なのに、おかしなことに拘るのね」

“ゲームはゲームでも、私はテレビゲームの神。人生ゲームなどのすごろくや、ウノのようなカードゲームは扱ってない”

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