
花と時計
第4章 夢
抜けるような青い空には雲ひとつなく、太陽がキラキラとした光を降り注いでいる。
私は、学校の正門前のバス停で、先輩を待っていた。
暗乃雲の新作ということで、勢いに任せて返事をしてしまったけれど、よくよく考えたら、男の人と出かけるのは初めてだ。
しかも、あの夢咲先輩と。
急に緊張してきて、私は、肩に下げた鞄の紐をぎゅっと掴んだ。
早く来てほしいけど来てほしくない。
複雑な思いを抱えながら、正門に体を向ける。
すると、すぐにあの藍鼠色が見えて、心臓が跳び跳ねた。
先輩は、私と目が合うと軽く手をあげて、微笑んだ。
