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花と時計

第8章 震える蕾


夏休みに期待しているのが私だけじゃないのは当たり前だ。

テーマパークは人に溢れていて、気を抜くと、波に押し流されてしまいそうだった。

人生初めてやって来たけれど、もう行かなくていいかな。

後ろ向きになる私を、現瀬くん……恭次くんは、ぐいぐいと引っ張っていく。

行くバスの中で、私が、テーマパークに行くのは初めてだと教えたら、とても張り切ってくれたのである。
彼は友達と月に一度は来ているらしく、人混みにも慣れたものだった。

私の手首をしっかり掴んで案内してくれる背中は、頼もしい以外の何物でもなかった。

「初めはさ、みんな目当てが一緒だから集中すんだよな。
だから、はじっこに来ればガラガラってわけ」

「た、確かに」

彼が言うように、人気アトラクションが密集しているエリアから少し外れた場所に来ると、さっきの人混みが嘘のように、人の姿がまばらだった。

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