無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　真を連れて旅へと赴き、既に四日目となった。

　なんとなく車を走らせながら、気の向くままに右往左往を続ける。二人の旅路は、どこまでも勝手で気ままなものとなりつつあった。食べたい物を見つけては、食べ。眺めたい場所があれば、眺め。夜になれば適当な宿を選び、泊まった。

　そうなれば、次第に目的を見失ってしまうのも必然。否、目的なんて立派なものが、果たしてあったのかさえ定かでなくなる。逃れたなにかから真のことを守りたいと思い、凡庸な俺にしては大いに思い立った、つもりではある。が元々、それだけでなにかを成せる、わけもないのだ。

　そしてこれは、どうしようもない現実。言わずもがな、そのような旅路は金銭を湯水の如く浪費することとなり……。目下、労働による対価を得ない俺が、その頭をチクチクと鈍い痛みに苛まれてしまうのも無理もないことだ。

　いつまでも、そうはしてられない。わかっていながらも、流され始めている。坂道ってものが、昇るよりも降る方が楽であるのと同じだ。もっと言ってしまえば、転がり落ちそうになっているのかもしれない。

　俺は色々と考えを重ねてはみせても、結局は真を抱いてしまった。この旅の間に、もう幾度か……。

　溺れてはならない、そんな決意も薄れるほど、やはり真は魅惑的だった。

　と、それを真の魅力のせいにするのは、当然ながら言い訳。時と身体を重ねるにつれ、俺の中で徐々に怠惰が肥大していったのも紛れもない事実なのだ。

　それは所詮、単なる男と女であると思い知るようで。葛藤を失ってしまえば、もう妙な感傷もなくなり、すなわちこのままでは“退屈”というものが二人の間に挟まってきそうだった。

　果たして、この先の俺と真の物語には、どんな終焉が望ましいというのか。