ほんとのうた(仮題)
第9章 対峙して
「ん……?」
ここは、どこだ……? そんな疑問と共に、四日目の朝を迎える。
ふかふかすぎるベッドは苦手だ。常に沈み込むような感覚を受ければ、身体が埋まり込んでしまわないかと、不意に焦ることになるから。
ホテルの部屋を取る際に「ツイン」ではなく「ダブル」と臆面もなく言えるようになったのは、昨日からだった。
眠さの中でどうでもいいことを考えつつ、ゆっくりと目覚めようとしながら。まだ眠い。心地よい気怠さに、もう少し身を委ねようかとも迷った、そんな時。
「オイ……なにしてる?」
腹の辺りにズシと重さを感じて、俺は文句を口にした。
「もう、九時過ぎだよ」
そう言って俺の上に馬乗りになった真は、俺のかけていた毛布を頭から剥ぎ取る。朝の眩しさを浴びて、俺は思わず顔をしかめた。
「今、起きるから……とりあえず、どいてくれよ」
「まあ、別にどいてあげてもいいけど。その前に、こっちを向いて」
「あ?」
なんだよ、と思いつつ。ゆっくりと光に目を鳴らしながら、俺はようやく身体に跨って真の方を見やった。
すると――
「――!?」
カーテンの開かれた窓からの光の中。浮かび上がった真のシルエットは、裸であるようだった。
そうだと気づき呆気に取られた顔を笑って、真が言う。
「これでも――どいた方がいい?」