ほんとのうた(仮題)
第13章 あとは終わりゆく、だけ?
※ ※
「ふう、疲れたー」
部屋に入るなり、真はドッとベッドに倒れ込んだ。
「オイ……真」
俺はそれをたしなめるようにして、言うのだが。
「旅行は総じて楽しかったけれども――やっぱ、我が家が一番かな?」
真の方はとぼけた口調で、そんなことを言っている。
俺は小さくない、ため息をついた。
「いつから、我が家になったんだよ」
「いいじゃん。カタいことは言いっこなし。それよりも、お腹すいたなあ。オジサン、なんか作ってよ」
「飯は外で食うつもりだ。お前を送ってく、その途中でな」
「ええ、流石に外食も飽きたよぉ……。オジサンの適当な手料理が、いいなあ」
「一週間も部屋空けてたからな。使える食材なんてねーよ……」
「じゃあ、買ってきなって。ふぁあ……その間、コッチはひと寝入りさせてもらうからさぁ」
「真、お前なあ……」
ゴロンと俺に背を向けた真は、そのまま寝てしまおうという格好である。そして、またしても己のペースに、俺を引き込むつもりのようだった。
やれやれ、と。最後まで世話を焼かせてくれるねぇ、ホントに……。
俺に残された仕事は、決して楽なものになりそうもなかった。そんな予感を覚えつつ、とりあえず俺は頭を掻く。
「……」
眠ると言った言葉とは裏腹。横になって俺の方に見せた背中は、お得意のタヌキ寝入りなのだ。俺の視線を察して、実に居心地がよくないらしい。
だから――
「真――こっちを向けよ」
それに応じると、仕方なしにゴロリと身体の向きを変えた。
「なによ……?」
それから、尖らせた唇で言う。