ほんとのうた(仮題)
第13章 あとは終わりゆく、だけ?
ふう、再びため息をつく。嫌だな、って思うから。言いたくもないことを、こうして構えられてから、改めて口にしないとならないのだから……。
少しは俺の身にもなれよ――なんて、思わず言いそうになるが、それは言わない。
もう妙な駆け引きなんて、してられなかった。
「真は、もう――ここには、いちゃいけない」
「どうして?」
「その理由は、自分が一番わかってるはずだ」
「ええっ、わかんないよぉ」
「じゃあ、聞くぞ――お前だって、困るだろ」
「……?」
俺はややためらってから、こんなことを口にしている。
「俺と、ずっと一緒にいてくれ――そんな風に、もし言われたとしたら、どうだ?」
「……!」
その時、真は恨めしそうに、俺を睨みつけた。
「オジサン、ズルいよ……」
「なぜ?」
「その言い方が、ズルいの。決めつけないで、ホントにそう思ってるのなら――ちゃんと、言ってくれればいいじゃんか」
「言わないよ。言えるわけがないだろ」
「本心じゃ、ないから?」
「違う――」
俺は目を閉じ、また頭を掻き、そして目を開き、真を見据えて――言った。
「さっきも、言ったろ。お前を、困らせたくないんだ」
見つめ合った、その瞳が静かに潤む。今にも滴を零しそうなそれを、真はまた背中で隠し――。
「やっぱ……ズルいよ」
と、呟いた。