ほんとのうた(仮題)
第14章 (仮題)
「…………」
その熱唱を唄を、聞き終えて……。
俺の中に生じた想いは、とえりあえず後回しにさせてもらいたい。
まあ、そんなの言わなくても、大体わかるだろうから。
ともかく、テレビで視聴したライブ会場の様子はと言えば――それは。
はあ……はあ……。
マイクが無くとも、その息遣いが聴こえそうなくらい。
唄い切った真は、その身体を大きく揺らしながら、立つ。
それに対し、見つめた大観衆は――
………………………!?
明らかにそれまでのイメージと異なるそれを、どう受け止めていいのか量り兼ねていたのかもしれない。
暫し静かな沈黙の時が、ライブ会場を包み込んだ。
おそらくはそれを無反応だと、そう感じて――。
あは……は……。
真ははにかんだように、一瞬だけ笑うと――
それから力を失ったように、ガックリと肩を落とし――。
立っているのもきつそうにして、頭を垂れ両膝に手をついてしまった。