ほんとのうた(仮題)
第14章 (仮題)
彼女は自分の成し遂げていたことを、目の当たりにしていたのである。
そして、それを自ら実感するように――。
ファンからの賛美――その全てを胸に抱くように、彼女は両手を広げ――
『みんなー! 本当に、ありがとぉー!!』
俺の好きな――真の笑顔が、大きく弾けていった。
【完】
――なんて。
物語を綺麗に閉じるのなら、ここで終わりにしたい気分は山々ではあるのだけど。
残念ながら冒頭でもお話したように、これは俺の物語であるのだ。
そんなわけで大変すまないが、冴えない人生に訪れていた些細な変化にも、あと少しだけお付き合い願おう。
更に、一年の月日が流れ――その頃の俺は。
【たとえば――へ】