ほんとのうた(仮題)
第4章 重ね合うもの
「別にお父さんの再婚に、反対するつもりなんてなかったんだけどね。でも、あの人とは、なんかなぁ……」
その問題の多くは、おそらく父親の再婚相手――「あの人」と表する義母にあるようだった。その人となりについても多くは語らなかったが、少なくとも相容れない関係であると考えて間違いあるまい。
そう言えば、俺がネットで見知った情報では、真の個人事務所の代表は、その義母であるということだっけな……。
「結局……それからの私は、どんどん荒んでいく一方だった」
高校生なると、家にも帰らないことも度々だったようだ。クラスの女友達の家を転々と泊まり歩いたり、とそんな頃ならまだましで。その内には知り合った大学生の男のアパートに半同棲よろしく転がり込んでいたと、その様にも話している。
真のある意味での奔放さは、そんなことを繰り返す中で培われたものかもしれない。しかし一方では、当時付き合っていた男の影響により、本格的に音楽に対する興味が目覚めたのもこの時期だと話した。
真は自分一人で、生きられると感じたことだろう。実際後にはそれだけの素養を、大きく花開かせているのだ。知り合った仲間とのインディーズでのバンド活動に始まり。そしてその光り輝く魅力的な才能は、大手のレコード会社の目に止まった。
やがて、ソロとしてデビューの話が舞い込む。しかし、それとほぼ同時期であったという。
「急病でね……お父さんが、死んじゃってさ……」
「……」
俺は言葉もなく、俺はそう話す真の横顔を眺めていた。