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本気になんかならない

第19章 中秋

いきなり何を言いだすかと思えば

「何で俺が…」

「弾けるんでしょ?」

俺、北里の前で弾いたことも
弾けると言ったこともないはずだけど…。

「いや、俺は…」

「ね、お願い、
和君と演奏、したい」

何で知ってるのかは不思議だけれど、
北里と演奏か…

やってみたい気持ちはある。

だけど、ピアノはこの夏に
妹と少し連弾したくらいで
とてもこんな場所ではと、俺は客席を見まわす。

すると、カウンターからこちらをうかがう

きっとあの女性は、北里の友だちなんだろな。
そうか、だからか…

俺はひとつ息を吐く。

ここで断ったりしたら、
北里が恥ずかしいよな…

わかったよ。

北里のために、最後の今日は真剣に
あなたと音をあわせよう。。

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