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本気になんかならない

第19章 中秋

3拍子のテーマから4拍子の間奏へ移ると
北里は楽器をスタンドに置いて
軽やかにステージを歩む。


「ロマンチックに言葉を操る
詩人のようにはいかないけれど、私もね

あなたのために曲を作ったの
あなたに届くといいんだけれど」

歌い出すので
声量にあわせてピアノを落とした。

歌い終えた北里は
ともに弾き終えた俺の
顎を持ちあげ、口づけた。


いきなり何をするんだ?
って思ったけれど、つぎの瞬間には

包まれた俺の頭部は
抵抗しなきゃと片鱗で思いながら
柔らかくて甘い北里に酔いしれた。

こんな演出、聞いてない……っ

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