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本気になんかならない

第19章 中秋

パッと顔をあげて見つめてくる北里を
直視しないようにして
俺は、その場から立ち去ろうとした。

そんな俺のカバンをつかむ。

そういえば、おそろいだったな
このカバン…。

北里と、自分の持ち物を見比べて
いまさら、財布も何もあったもんじゃなかったな

買ってくれようとしたメグに
悪いことしたな、俺。。

北里に関係するのは、
何も財布に限ったことじゃない。

この俺の目も耳も、指先も…
身体全部を入れかえなければ

きっとまた、俺は思いだす……

捨てられない財布を
ひきだしにしまっただけで
忘れた気でいられるなんて
俺はまったくのバカだよな。

そんな自分にため息をつく。
俺はどうしたら忘れられるんだろう。

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