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本気になんかならない

第20章 リンドウの咲く季節

「あ、ありがと…ごめん。服、破れた」
と部長が謝る。

「ケンカならしかたないんじゃない?
痛くない?」

俺のボタンも吹っとんだけど、
部長の片袖もちぎれてしまったし。

「そんなこと言う?怒れよ?」

「やるなら、もっと広いところでしようよ。
俺、柔道ならちょっと自信ある」

半身を起こした俺を見あげた部長は、ふっと息を吐いた。

「俺、キスしちゃったんだ…」

「、、…誰に?」

深く沈んで見える瞳と裏腹に、
彼の口元には笑みが浮かび、俺の身体は固まる。

「誰って…誰だと、思う?」

そう言いながら彼も身体を起こした。

もしかして、メグ…に?

「まさか…。いつ?」

目があうと、気まずそうに彼は顔をそむけ。
俺はその、ほのかに赤くなった顔を食いいるように眺めた。

お前、、メグを好きだったのか…。

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