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本気になんかならない

第25章 春雷

…男の身体って、そういうふうにできているんだろうか?

気がつくと俺は
必死にすがってきた小浜さんを
抱きしめていた。

「ごめん」と、腕を離す。

「ううん。ありがと」

照れる小浜さんに俺もつられて
気恥ずかしく

だけど、何でもないふりをして

「……いつやむかな?」と、つぶやく。

ちらほらと人影があった通りは
すっかり俺たちだけになり

みんな、駅までダッシュかな?
走って10分くらいの道。

俺も小浜さんも、すでにわりと
な濡れかたで、もう雨宿りの必要もなさげだったけど
雷光があちらこちらで見えている今
路地に出るのはためらわれた。

っても、一時しのぎの小さなひさしの下。
ここも雷に打たれる危険はあるし
路上から跳ねかえる雨で、ひざ上までずぶ濡れで

周りに店はないかと俺は探す。

首を傾けると、その角を曲がったところに
ファンシーな点滅看板が見え…

小浜さんも、それに気づいた。

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